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No.16 日焼け対策と美白化粧品について

2015.08.19

暦の上では春ですが、まだまだ肌寒い日が続きます。しかしながら日差しを見ると春はそこまで来ているのかなと感じる今日この頃ですが、皆さんは日焼け対策なんてまだ早いと思われているでしょうか?それとも日焼け対策は一年中必要と思われているでしょうか?時は正に美白ブーム、女性であれば色白でありたいと願う気持ちはみんな同じです。今回は日焼け対策と日焼け後のスキンケアについて、その中でも特に美白化粧品を重点的にご紹介したいと思います。

紫外線の種類と肌への影響

皆さんが日常的に行われている日焼け対策は、帽子をかぶったり、日傘をさしたり、日焼け止めを塗ったりという方法が多いと思います。帽子や日傘に使われている生地の中には、ラッシュガード生地と呼ばれ生地自体が日焼けを防止する効果を示すものもあります。衣類が太陽の紫外線を遮断する効果を数値化した値をUPF(紫外線防止指数)といい、UPF値が高いほど日焼け防止、日焼け止め効果が高いといわれています。UPF50以上はすべてUPF50+(プラス)と表記され、UPF15以上が良いとされています。
日焼け止め効果のある衣類を着用し、さらに日焼け止め効果のあるスキンケア用品を使用すればより一層効果的で、日焼け止めについてはSPFやPAといった値が日焼け止め効果を示す値として一般的に使われています。では、SPFとかPAという値は具体的に何を指す値なのか、皆さんはご存知でしょうか?紫外線は波長が320~400nmのUVA波、280~320nmのUVB波、200~280nmのUVC波の3種類があります。UVA波は肌の真皮に到達し、コラーゲンやエラスチン線維を破壊させ、活性酸素を作りだし、遺伝子を傷つけたり、皮膚の免疫力を低下させ、シミやしわなど肌の老化の原因となります。このUVA波を防止する効果の目安となるのがPA値です。PA値は日焼けで色が黒くなるまでの時間を延ばす力を指し、3段階に区別されPA+~PA+++で効果を表します。また、UVB波は肌の表皮でDNAや細胞膜を破壊し、表皮に炎症や軽い火傷のようなトラブルを引き起こします。UVB波はUVA波に比べると非常に強力で、短時間で肌にダメージを与え、重症化すると傷ついた細胞が皮膚がんに発展してしまうこともあり、注意が必要です。このUVB波を防止する効果の目安となるのがSPF値で、紫外線防御指数のことです。SPF値が高いほど日焼けで皮膚が赤くなるのを予防する効果が高いといわれています。UVC波はUVB波よりさらに強力な紫外線ですが、オゾン層で吸収されるために地表には届かないといわれています。ところが近年オゾン層の破壊によりUVC波による影響が危惧されていますので、今後注意が必要になってくるかもしれません。

日焼け後に必要なケア

これだけ日焼け対策グッズがあるにもかかわらず、もし万が一、うっかり日焼けをしてしまった場合は、次に必要になってくるのは日焼け後のケアです。日焼けをした肌は、軽い火傷をしたのと同じ状態にあるといえます。日焼けをして肌が火照って炎症を起こしている状態であるならば、まずはその炎症を止めなければいけません。炎症を止めるためにはまずアイシングをし、火照った肌をクールダウンする必要があります。その次にはしっかり保湿をしてあげましょう。火照った肌は想像以上にダメージを受けており、必死にダメージを修復しようとがんばっています。そのような時に肌の水分量が低下していると、回復機能も衰えてシミやしわが出来やすくなってしまいます。日焼けをした後は、まずはアイシングで肌の炎症をおさえ、水分を十分に与えて保湿をすれば、肌本来がもつ回復機能を高めることができ、紫外線のダメージを最小限に食い止めることができます。また最近は様々な種類の美白化粧品がでているので、普段のお手入れに取り入れることで、より回復機能を高めることができるといえるでしょう。

美白成分の種類と効果

美白に有効な美白成分は、その働きにより大きく3つのタイプに分けることができます。
まず一つめはメラニン色素の合成を抑える効果のあるもので、一般的によく知られているのはプラセンタエキス、ビタミンCとその誘導体、アルブチンなどが挙げられます。二つめは抗酸化作用を示し、紫外線によるダメージを抑制する効果があるもので、ビタミンCとその誘導体や、ビタミンE、ポリフェノールなどが知られています。三つめの成分として、メラニン色素の排出を促し、肌の生まれ変わりを助ける効果のあるものとしてレチノールなどがあります。今ご紹介した美白成分以外にも医薬部外品として厚生労働省が「メラニンの生合成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ」あるいは「日焼けによるしみ、そばかすを防ぐ」効果があるとして認可している成分があります。(別表)医薬部外品とは効能効果が認められた成分を配合しているものをさし、治療効果よりはむしろ予防効果に重点をおいているものが多いようです。
代表的な美白成分の効能について簡単にご説明をさせていただきます。アルブチンとはコケモモや洋ナシから抽出される成分で、メラニンを生成するチロシナーゼに作用して、メラニンの生成を抑える作用を示します。ところが肌の奥に浸透しにくいという欠点があるために、アルブチンを配合している化粧品にはアルブチンの浸透力を高め、より高い効果を得るための工夫が施されています。プラセンタエキスとは動物の胎盤から無菌的に抽出されたエキスで、ビタミン、ミネラル、アミノ酸を含み、メラニン生合成抑制作用、皮膚の柔軟化作用、保湿作用、しみ・そばかす・小じわの改善作用等幅広い効果があるとされています。以前は牛由来のものが使用されていましたが、BSE以降は豚由来のものや、植物性プラセンタエキスが使われています。ビタミンC誘導体とは天然の食品に含まれているビタミンCを肌が吸収しやすいように改良し、安定化させたもので、美白作用、チロシナーゼ抑制作用、抗酸化作用、コラーゲン増加作用など様々な効果がある成分です。
また医薬部外品ではないですが、最近着目されているのがアスタキサンチンという成分です。アスタキサンチンはサケやイクラ、エビ、カニなど海の生物に多く含まれている赤い色素で、カロチノイドの仲間です。抗酸化作用が非常に強く、ビタミンEの約1000倍になります。また紫外線保護効果が高く、メラニンの生成を阻害するだけでなく活性酸素を除去し、肌表面において表皮細胞のメラニンを還元し、美白効果に優れているといわれています。抗酸化作用が強いためにアンチエイジング効果も高く、またコラーゲンの産生を促す効果も持っています。まさに色々な効果を併せ持つ夢の成分といえるのではないでしょうか。

医薬部外品として認可されている成分

成分 含有物 効能効果 含有している化粧品
アルブチン コケモモ、洋ナシ メラニンを生成するチロシナーゼに作用しメラニンの生成を抑制する 白潤(ハダラボ)
エクセレントホワイト(オルビス)
エラグ酸 イチゴ、ラズベリー チロシナーゼ酵素の働きを阻害する
抗酸化作用を有する
ホワイトREXプラスエッセンス(シュウウエムラ)ブランエクスベール(ランコム)
m-トラネキサム酸 アミノ酸の一種 メラノサイトを活性化するプラスミンを阻害し、メラニンの生成を抑制する ハク(資生堂)ホワイト(天真堂)
カモミラET カモミールの葉 メラノサイトの活性を抑制さらにメラニンの生成を促すエンドセリンを抑制 ソフィーナホワイトニング(花王)
ビタミンC誘導体 レモン、オレンジ 抗酸化作用、美白作用、チロシナーゼ抑制作用肌荒れの改善や予防 フェアルーセント(メナード)
プラセンタエキス 豚などの胎盤 メラニン生成抑制作用、保湿作用、皮膚の柔軟化作用 スーパーホワイト(ドクターリセラ)
マグノリグナン 白モクレンの樹皮 チロシナーゼ酵素の活性を抑制し、メラニンの生成を抑える ブランシールスペリア(カネボウ)
リノール酸S 紅花油 チロシナーゼを分解するとともにメラニン排泄を促進 エクイタンス(サンスター)
ルシノール モミの木 チロシナーゼ酵素と結合しメラニンの生成を阻害する ホワイティシモ(ポーラ)


このように色々な効能効果を持つ美白化粧品が数多く商品化されていますが、一番重要なことは自分の肌質に合った化粧品を選ぶということ、いくら高い効果が謳われている化粧品を使用しても、自分の肌質にあっていなければ、それは肌にとっては大変なストレスになってしまうということを常に念頭に置き、化粧品を選ばなければいけないということです。
女性であればいつまでも若々しい肌を保ちたいというのは全員の願いだと思います。自分の肌にあった化粧品を見つけて、いつまでもきれいであっていただきたいと思います。

過去の一覧

2016.05.30
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2015.08.18
No.15 お薬の副作用について
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