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No.12 食品・嗜好品と薬との相互作用について

2015.08.15

牛乳と医薬品の相互作用

牛乳は栄養価の高い食品で、良質のタンパク質、脂肪、ミネラル、ビタミンをたくさん含んでいます。中でもカルシウムは特に含有量が多く、吸収性がいいので、幼少児から高齢者まで多くの人が牛乳を飲むことを習慣としています。
牛乳と薬の相互作用の大半は、薬の吸収に影響を及ぼすことが原因となっています。牛乳はカルシウムを豊富に含有するため、Caイオンが薬とキレート結合し、薬の吸収を阻害します。ニューキノロン系抗菌薬やテトラサイクリン系抗生物質などは、効果が減弱するので、同時に服用するのは避けましょう。また、牛乳は脂肪分が多いため、脂溶性の高い薬の溶解性が増して、吸収が早くなったり、血中濃度が上昇することがありますので注意が必要です。さらに、牛乳は制酸作用があるので、消化管内のPHが上昇し、薬の吸収に影響を与えてしまう場合もあります。
薬は牛乳での服用を避け、水かぬるま湯で服用するようにしてください。

グレープフルーツジュースと医薬品の相互作用

グレープフルーツジュースが一部の降圧剤の作用を増強するということはよく知られていることですが、グレープフルーツジュースに含まれているベルガモチンという物質が、薬の代謝に影響を及ぼすといわれています。消化管において薬物代謝を阻害したり、薬物の排泄過程を阻害したり、薬物の細胞内への取り込みを阻害することがわかってきました。
相互作用の影響の度合いは薬物によって異なります。グレープフルーツジュースの影響は、一般的には24時間程度で、薬物によっては2~4日もの間影響が持続するものもあります。グレープフルーツジュースの影響を受ける薬物はカルシウム拮抗剤以外にもスタチン系の高脂血症治療剤や、精神神経用剤、抗不整脈剤など多種にわたっています。グレープフルーツジュースを習慣的に飲んでいて、しかも医薬品を服用している方は十分な注意が必要です。医師または薬剤師にご相談ください。

酸性飲料(コーヒー、コーラ等)と医薬品の相互作用

薬は通常PH7付近の水で服用することを前提に作られていますので、水やぬるま湯で服用することをお勧めしますが、乳幼児などは飲みやすくするためにジュースで服用したり、中にはコーヒーやコーラで服用する方もいらっしゃると思います。これらの飲料は酸性を示し、医薬品によっては相互作用を起こす可能性があるので、注意が必要です。また、炭酸飲料水の多くはPH2.5~2.9の酸性で、清涼飲料水の中にはPH3~4のものがあります。アスピリンを酸性飲料で服用すると吸収が通常よりも遅くなります。逆に一部の抗真菌剤やカルバマゼピン、フェニトインは吸収が早くなり、血中濃度の上昇で副作用の発現に注意が必要です。マクロライド系抗生物質のドライシロップや小児用細粒は薬の苦味を防ぐためにコーティングがされおり、口腔内で溶けにくくなっています。オレンジジュースなどの酸性飲料で服用すると、薬の苦味が増すことがあるので、避けたほうがいいでしょう。

アルコールと医薬品の相互作用

アルコール(エタノール)は中枢神経抑制作用を有する薬物の作用と多くの共通点を持ち、これらの薬物との相互作用には常に注意が必要です。アルコールは、ほとんどが上部消化管より吸収され、肝臓でアセトアルデヒドに代謝され、さらに酢酸へ代謝されます。また一部は未変化体のまま尿中、汗、呼気などに排泄されます。アルコールの代謝は、性差や代謝酵素活性などの個人差が大きく、医薬品との相互作用も予測がつきにくいといえます。
ベンゾジアゼピン系の睡眠導入剤とアルコールを併用すると、薬物の作用が増強することはよく知られています。MAO阻害剤や抗うつ剤なども相加的に中枢神経抑制作用が増強し、また、副作用が強く現れる可能性も高くなります。経口糖尿病薬やインスリンは低血糖の危険性が増大します。アルコールの急速大量摂取は、肝臓でグリコーゲン生成を抑制することで糖新生を抑制し、低血糖が起こることがあります。糖尿病治療中であれば、血糖コントロールへの影響を考え、禁酒するか、飲酒する場合は食事とともに少量摂取に努めてください。また規則正しい食生活を心がけ、栄養不足に陥らないように注意が必要です。

大豆製品と医薬品の相互作用

大豆は良質のタンパク質で栄養価が高く、昔から様々に加工された大豆食品(みそ、醤油、豆腐、豆乳、納豆、など)がたくさん食されています。大豆の成分組成はタンパク質が約35%と一番多く、続いて糖質が25%、脂質20%、食物繊維5%となっています。最近は大豆イソフラボンが注目され、健康食品としても繁用されています。大豆イソフラボンには弱いエストロゲン様作用があるため、卵胞ホルモンを服用中であれば、作用に影響が及ぶ場合があります。また大豆にはビタミンKが含まれているので、ワルファリンの効果が減弱することがわかっています。特に納豆は腸内でビタミンK産生作用を有するので、ワルファリン療養中は摂取を避ける必要があります。
ここでご紹介した食品・嗜好品と薬との相互作用はほんの一部です。詳しくは薬局の薬剤師にご相談ください。

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2016.05.30
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2015.08.19
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2015.08.18
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