●情報センターお知らせ
No.9 高齢者の飲み薬のなぜ?
2015.08.12
高齢者の飲み薬のなぜ?
高齢者とは何歳からですか?薬の量は成人と同じではないのですか?
高齢者とは一般的には65歳以上のことを指し、老年学の学術用語では65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と区別しています。個人差はありますが、75歳になると複数の病気にかかる可能性が高くなり、なんらかの薬を飲んでいる割合も高くなります。小児の場合の薬用量は、ほとんどの場合体表面積で決まることが多いです。体表面積は身長と体重で換算することができるので、標準的な体格の子供なら、年齢で大体の薬用量が決まります。ところが高齢者の場合は、体表面積に変化がなくても諸臓器の機能低下により薬物の吸収、代謝、排泄が低下し、体組成も変化しています。したがって体重は同じであっても成人と高齢者では薬用量は異なり減量すべきですが、小児のようなきちんとした目安はありません。初回は少なめから始め、様子を見ながら徐々に増量するのが安全と言えるでしょう。
高齢者は副作用が起きやすいのですか?
高齢者の場合、個人差はありますが、加齢に伴って各種臓器機能が低下し、薬物の血中濃度や代謝に影響が出る可能性が大いに考えられます。臓器によってその低下は一律ではなく、個人差も大きいものがあります。また、薬物への感受性も加齢とともに変化することがあり、睡眠薬や降圧薬、血糖降下薬などを服用するときには注意が必要です。このように高齢者では様々な理由で有害事象が起こり易いとされています。さらに加齢とともに慢性疾患が増え、複数の医療機関を受診し投薬を受けているケースが増加しています。複数の医療機関を受診している場合、薬の名前は違っても同じ成分の薬をもらっていたり、似たような薬効の薬をもらっていることが大いにありえるので、まず薬の重複がないかどうかをチェックする必要があります。重複投薬が原因で常用量をこえて長期間にわたり薬を服用すると、若年者に比べて副作用がでやすいのは事実です。重複投薬や過量投薬を避けるためにお薬手帳を活用するのもひとつの方法です。
不眠でマイスリー錠10mgをもらっています。知人はレンドルミン錠0.25mgをもらっていますが、10mgと0.25mgではずいぶん量が違います。マイスリー錠は強い薬ですか?
マイスリー錠とレンドルミン錠では薬の成分が全く違うので10mgと0.25mgを比較しても意味がありません。睡眠導入剤には色々な種類があり、不眠のタイプによって使い分けがされています。マイスリーもレンドルミンも入眠障害に使われる薬ですが、作用のでかたは個人差があり、強いとか弱いとかではなく、一人一人の症状ににあった薬を服用することが重要です。
骨粗鬆症と診断され、栄養と運動に気をつけていますが、薬を服用したほうがいいのですか?
骨粗鬆症とは骨強度の低下を特徴とし、骨折のリスクが増大することを指します。骨強度とは骨密度(BMD)と骨質からなるもので、BMD測定値が70%未満を骨粗鬆症といいます。骨粗鬆症の治療の目的は、骨折を予防し、日常生活の質を維持することであり、栄養と運動療法が基本です。しかし加齢やステロイドの服用など危険因子が高い場合は栄養や運動療法だけでは改善されることが難しいため、薬物療法も開始するほうがより効果的と思われます。
薬だけではなかなか治らないので健康食品やサプリメントも摂りたいのですが・・・。
健康食品は食品なので薬と一緒に摂っても問題ないと思っている人が多いと思いますが、食品の中でも納豆やブロッコリーは血液凝固防止薬の作用を弱めたり、グレープフルーツは降圧剤のカルシウム拮抗薬の作用を強めることがわかっているので、健康食品も気をつけなければなりません。特に気をつけなければいけないのは、知らないうちに同じ成分や同じ作用を示す成分を過剰に摂取してしまうことです。またサプリメントのなかには一部の医薬品の効果を弱めてしまうものもあります。しかも同じような目的で使うサプリメントでも体内での作用が違う場合もあり、医薬品と併用するときは気をつけなければなりません。健康食品やサプリメントを摂るときは薬との飲みあわせに十分注意する必要があります。
過去の一覧
- 2016.05.30
- No.17 不眠症と薬物療法について
- 2015.08.19
- No.16 日焼け対策と美白化粧品について
- 2015.08.18
- No.15 お薬の副作用について
- 2015.08.17
- No.14 食物アレルギーについて
- 2015.08.16
- No.13 熱中症について