●禁止物質について
禁止物質および禁止方法について
世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が策定した世界統一のルールがあり、その中で禁止物質及び禁止方法が定められています。常に禁止される物質と方法(競技会(時)および競技会外)と競技会(時)に禁止される物質と方法に分かれています。また全ての物質は例外を除き特定物質として扱われます。
特定物質とは
WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が策定した禁止表国際基準に掲載されている物質は、例外を除いてすべて特定物質として扱われます。特定物質が原因のドーピング違反の場合は、以下の2点を証明できる場合には、資格停止期間を短縮することができます。
・自己の体内にその物質がいかに入り、又はいかに保有するに至ったか
・その物質の使用が競技者の競技力の向上又は競技力を向上させる物質の隠蔽を目的としたものではない
例外(非特定物質)とは以下に挙げる物質です
S2. ペプチドホルモン、成長因子および関連物質
S4. ホルモン調節薬および代謝調節薬
4. ミオスタチン機能を修飾する薬物
5. 代謝調節薬
S6. 興奮薬
a. 非特定物質の興奮薬
M1. 血液および血液成分の操作
M2. 科学的および物理的操作
M3. 遺伝子ドーピング
うっかりドーピングを起こしやすい医薬品
総合感冒薬(かぜ薬)
市販されているほとんどのかぜ薬には、禁止物質であるエフェドリンやメチルエフェドリンが含まれています。市販のかぜ薬を購入する時には、必ずスポーツファーマシストまたは薬剤師に確認してください。
漢方薬
漢方薬は安全と思われがちですが、漢方薬を構成する生薬にはそれぞれたくさんの成分が含まれており、一つ一つの成分が禁止物質にあたるかどうかを特定するのは困難です。中には明らかに禁止物質を含むものもあり、たとえば葛根湯に含まれている麻黄という生薬には、禁止物質であるエフェドリンやメチルエフェドリンなどが含まれていることがわかっています。また胃薬に含まれているホミカという生薬には、禁止物質であるストリキニーネが含まれています。漢方薬は絶対に安全とは言い切れませんので、ドーピング検査を受ける可能性のある選手は服用を避けてください。
滋養強壮薬
滋養強壮薬には、禁止物質である蛋白同化薬(テストステロン)やホルモン関連物質を含む漢方薬が含まれているものがあります。そしてこれらは健康食品として、滋養強壮目的のサプリメントやドリンク剤として多数市販されています。生薬成分である海狗腎(カイクジン)、麝香(ジャコウ)、鹿茸(ロクジョウ)を含むものにはこれら関連物質を含む可能性が高いので、普段から使用しないように心がけましょう。
毛髪・体毛用塗り薬
毛髪・体毛用塗り薬には、禁止物質である男性ホルモンが配合されているものがあります。普段から使用しないように心がけましょう。
鎮咳去痰薬・気管支拡張薬
鎮咳去痰薬には、禁止物質であるエフェドリンやメチルエフェドリン、メトキシフェナミン、トリメトキノールなどを含むものがあります。また気管支拡張薬の中のβ作用薬は常に禁止される物質です。飲み薬だけでなく気管支を拡張する貼り薬や吸入薬にも禁止物質を含むものがあるので、注意が必要です。
のど飴・トローチ
のど飴は、医薬品ではなく飴だから関係ないと思われている人も多いと思いますが、中には禁止物質であるメチルエフェドリンを含むものもあります。のど飴やトローチにも注意してください。
健康食品・サプリメント
現在多数の健康食品やサプリメントが販売されていますが、WADA(世界アンチ・ドーピング機構)ではスポーツでのサプリメントの使用を推奨していません。日頃からバランスの良い十分な食事を心がけておれば、健康食品やサプリメントは必要ないといわれています。また、健康食品やサプリメントは医薬品ではなくあくまでも食品の扱いになるので、医薬品のように含有成分を全て表示しなければならないという決まりはありません。今はインターネットで簡単に海外製品を個人輸入することができますが、海外の製品は効果を感じてもらうために、ラベルへの表示をしないまま不正に興奮薬やステロイドなどの医薬品の成分を添加しているものもあり、知らずに使用し、失格になる事例も毎年報告されています。健康食品やサプリメントはできるだけ使用しないようにしましょう。
ここに上げた医薬品以外にも禁止物質を含むものは、医療用、一般用を問わず数多く流通しています。ドーピング検査を受ける可能性のある選手は薬を服用する前にスポーツファーマシストまたは薬剤師にご相談ください。
また下記の薬事情報センターでもドーピングの相談を受け付けています。お気軽にご相談ください。
和歌山県薬剤師会 薬事情報センター(平日9時~18時)
TEL:073-433-0166
FAX:073-424-3353
E-mail:doping@wpa.or.jp
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≪参考資料≫